<譜例>ブラームス 交響曲第1番 ④ (第3楽章より)

 今回は、ブラームスの交響曲第1番より、3楽章の譜例をひとつの部分だけ、取り上げようと思います。

譜例は、こちらです。

 短い部分に、多くのポイントが詰まっているところで、かなりごちゃごちゃな書き込みになってしまいますが、ゆっくりひとつづつ述べていきたいと思います。

 まず、①と②の部分についてです。ここは、半音の動きや減5度(増4度)の音程が多く出てきて、非常に取りにくいところになりますね。
まず、①で四角2つで囲った部分ですが、はじめの部分は5POSで取っていると思いますので、次のEの音でひとつポジションをおり、1の指を使うフィンガリングを考えました。
ここは、2の指で3POSに降りる方もいらっしゃるかもしれませんが、その場合でも、その小節最後のB音は1の指でとったほうが良いと思います。
②として青色の書き込みで書いてあるように、これのB(と、続いて出てくるAis)を1の指で押さえ続けることによって、他の音も含めて非常にとりやすくなります。
たびたび出てくるBとAisの音を別の指で取っていると、なかなか安定した音程を取ることができませんので、このようなフィンガリングとしました。
ただ、この場合4の指の高いEの音の際に小指が縮まらないように注意が必要です。この譜例では、1の指がAisの位置(「よくある」3POSよりやや高め)にあることと、E音のオクターブを2と4で取っていることに気をつけると良いと思います。

 ③については、左手の動きは大きくないので難しくはないかもしれませんが、ハーフポジションを使うのが良いと思います。
ハーフポジションとは、この部分のDisのように通常の1POSより低い音が出てきたときに、前後の関係を考えて1POSより低い位置に手首ごと移動する取り方、位置をいいます。
(これは、いつかちゃんと記事にしたいと思います。)
この場合、低いDisを1の指で取ることに違和感はあまりないかもしれませんが、高いほうのDisをA線の4の指で取ることに慣れていない方が多いと思いますので、手首の位置に注意して弾いてみましょう。

 次に④の部分です。これはかなり無茶な跳躍に思います。実際かなり音程の乱れてしまうところだと思います。
練習方法としては、闇雲に上のGisを取るのではなく、移動先のポジションと、そのときの1の指の位置をイメージしながら跳躍するのが良いと思います。
この譜例では、上がった先は5POSの4のばしか、6POSということになりますね。

 ⑤については、ブラームスの1番のほかの記事にも何度か出てきていますが、4伸ばしの4-3-1の形ですね。

 最後の⑥は、小さな幅ですが跳躍のような部分があり、弾きづらいところでしょうか。譜例ではスフォルツァンドの音で4POSにあがり、4の指を伸ばして高いFisを取るようなフィンガリングになっています。
手の大きな人はこれが弾きやすいと思いますが、押さえにくいと思えばポジション移動をする方法も良いと思います。

3楽章はこの部分が特に左手の練習にもなると思いました。是非、楽器を手にとって弾いてみてください。

それでは、また。

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