<譜例>ブラームス 交響曲第1番 ⑤ (第1楽章より) 

 こんばんは。

 前回(ブラームス 交響曲第1番 ④)に引き続き、ブラームスの交響曲1番の譜例を取り上げようと思いますが、今回はセカンドバイオリンの譜例です。
セカンドバイオリンの譜例をなかなか取り上げてきませんでしたが、改めてこの曲のセカンドバイオリンの譜面を見ると、なかなか弾きづらいところが多いなと感じました。
ブラームスの交響曲は、アマオケの定番曲と言えますが、バイオリンパートにとっては、なかなかの試練なのかもしれませんね。

 さて、譜例はこちら、1楽章のものです。

 はじめのこの譜例はとてもシンプルに見えますが、フラット系からシャープ系への切り替えがあり、油断すると混乱しそうになるところだと思います。いくつかポイントを書き込んだものが、こちらです。

 ①については、フラットの音符をしっかり読めば、よくあるファーストポジションからサードポジションの間の移動なので、難しくはないと思います。
 ②の部分が、先に書いたフラット形からシャープ系への切り替えです。譜面どおりpiufの部分から読み替えてもいいと思いますが、その前の重音のフィンガリングもあわせて考慮すると、piufの一小節前のCesからHに読み替えるのが弾きやすいのではないかと思います。
 ③については、ハーフポジションの指使いをしています。譜例に書き込んだように、サードポジションに上がってもまたすぐ降りなければならないので、ハーフポジションが良いと思います。

 次の譜例は、こちらです。

 1楽章の、少し先に進んだところですね。ここは、減七の和音を基にした旋律で、バイオリンにとっては(おそらく多くのほかの楽器にとっても)音程の取りづらいところですね。
 細かい音程の工夫とかするのであれば開放弦は避けるべき、という意見もあるかもしれませんが、音程の取りにくさゆえ、積極的に開放弦を使って音程の目安にするのも良いと思います。
 このようなことを念頭に置きつつ、指使いなど考えてみました。

 
 開放弦の件については、ところどころに書いてある「0」の指使いです。
 ④の部分は、減5度の音程に注意すべきところです。減七の和音による旋律だと、この音程は良く出てきますね。
 ⑤の部分は、ぱっと見ると音程に混乱しそうな部分ですが、3つずつ並んだ音同士の音程が、それぞれ全音ずつ離れて半音上がって繰り返されていることに注目すると、音程をつかみやすいかもしれません。

 さて、次の譜例はこちらです。

 先ほどの譜例の、再現の部分ですね。調が変わって同じ主題が戻ってきています。
ここはポイントかな、というところを構わず書き込んでいたら、ぎっちりになってしまいましたが、せっかくなのでそれぞれ文章で書いていきたいと思います。

 まず、⑥の部分です。ここはただのサードポジション、ではありますが、フラットでとった3の指に対して4の指がFisと高い位置にあたるので、この4の指が下がらないように気をつけましょう。
※和声的には、このFisが高すぎるとそれはそれでまずいのですが・・・

 ⑦の部分については、A-Gesという取りにくい重音なので、サードポジションで取るよりも開放弦のAを使ったほうが確実、と考えました。ここはオーケストラ全体の音が厚い部分なので、開放弦でも大丈夫かな、という気持ちもあります。

 ⑧の部分ですが、ここも減5度になっています。過去の記事でも、「減5度は5度といっても隣の弦の同じ位置というわけではないので注意、半音分ずれます」という内容を書きましたが、ここでは半音分のずれに注意て取る方法ではなく、ポジション移動で音を取っています。
言うなれば、ポジション移動をして同じ弦で弾くことにより、隣の弦との間の半音分のずらしを、「隠して」いるようなイメージでしょうか。この方法を覚えておくと、他の曲など、いろいろな部分で役に立つと思います。

 ⑨の部分は、参考程度に書いたフィンガリングですが、やや気取った指の置き方かもしれません。もちろん、ポジション移動をしてD線も交えて弾くのもOKです。(ただし、その際はここでも減5度の音程に注意)ただ、1を下に伸ばすという「1伸ばし」を使うことで先ほどの⑧のように減5度のずらしを回避しているような形になりますね。

 ⑩については、ポジション移動をするタイミングを開放弦に合わせて移動しやすくしています。
ここの部分は、ポジション移動をしないでファーストポジションで弾ききる考え方もあるかもしれませんが、飛ばし弓をしながら弦を飛び越した移弦をする必要が出てくるので、それはそれでかなり難しいと思います。
そういう技術を要求されるソロの曲なんかもたくさんありますけどね・・・
 話がそれてしまいました。譜例に青字で書き込んだところですが、弾いてみるとお分かりになるかとは思いますが、この小節全体をファーストポジションで弾いた場合、ここのC-Aの和音は押さえにくいと感じる方が多いと思います。
この部分では、手のひら、手首の形などに注意して指を置く必要があるかと思います。

 さて、ようやく最後の⑪の部分です。
ここはおまけのつもりで書いたぐらいですが、前の譜例の⑤のように、前の小節からの音の指を基準に重音を取りましょう、ということです。ただ、ここは⑩とは違い、手の形からすると自然な指の配置なので、そう苦労することはないでしょう。

 だいぶ詰め込みすぎて長くなってしまいました。
続きは別記事で書ければと、考えています。

それでは、また。

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