<譜例>ブラームス 交響曲第1番 ③ (第2楽章より)

今回は、ブラームスの交響曲第1番から、2楽章を取り上げて左手のフィンガリングを考えてみます。
ゆったりした楽章ということもあり、それほど難しくない、というところかもしれませんが、2箇所譜例を考えてみました。

 まずは、こちらです。

 2楽章が始まってすぐのところになります。
半音の動きや高い音のあるところを中心に左手の押さえ方を考えてみました。

 ①の部分は、Edurの和音で上がっていくので、音がとりにくい部分ではありませんが、グリッサンドが入らないように注意して演奏すると良いと思います。
楽譜の例では、E-Hで1-3の指使いにして、ポジションを上がっていますが、どこでも良いと思います。
ほかの記事でも時々書いていますが、パートの中でポジション移動の場所をそろえるよりも、フィンガリングを個人の自由としてばらばらの場所で移動したほうが、全体としてはムラのないフレーズになると思います。
 そういえば、この場所は「上昇音型ですが、まだクレッシェンドしないでください!」と散々注意されたように記憶しています。
楽譜をしっかり見ずに演奏してしまうと、そうなってしまいがちだなと思いました。

 さて、②の部分についてです。
はじめにも書いたように、テンポがそもそも遅いので、演奏上難しいということはないと思いますが、こんなフィンガリングもあるかもしれないと考えてみました。
通常は下段にあるような、臨時記号の付いた音で指をずらすと思いますが、ここでは2の指を押さえっぱなしにして3、4の指を使うことを思いつきました。
どちらでもいいですが、普段と違うフィンガリングも試してみると、面白いですね。

 続く、Ais-Aの半音の部分ですが、スラーの中では指をずらさないほうが弾きやすいと思います。
(もちろん、指をずらすときの力の抜き方がしっかりわかっていれば、ずらしでも悪い音にはならないと思いますが)
この譜例では、AisをBに読み替えるようなフィンガリングで、3の指を使いました。

 次に、③の部分です。
ここも、難しくはないかもしれませんが、4-3-1の指の形に注目すると、とても良い練習になります。
「4のばし」というと、通常は下のほうから1-2-4や、1-3-4などの形を作ることが多いですが、今回の場合は4の指を置いてから1の指と3の指を置くような形になります。
1の指、もしくは若番の指から押さえていくという原則からは外れますが、4の指を中心に4-3-1の形を作る練習をしておくと、色々な場面で楽ができるように思います。
もちろん、オーソドックスに、A-Fisを4-2でとり、次のDisでポジション移動をする、という弾き方でもOKですよ。

 さて、次の譜例です。

 ここは、2楽章の中では一番フィンガリングを決めにくいところだと思います。臨時記号もあり、弾きにくいところですね。
一例ですが、このように考えました。

 ④の印をつけたところを境に、フラット系の記譜と、シャープ系の記譜が変わりますね。異名同音が多く出てきますが、それぞれの音の関係をしっかり理解して練習することが重要ですね。
で、その④の部分ですが、例では2POSで考えてみました。スラーの前半に移弦が入りますが、ここを注意して弾けば、楽だと思います。
どうも、ほかのポジションだと移弦が多くなったり、4の指を大きく伸ばさないといけなかったりで、個人的にはちょっと弾きにくいんですよね。
 さて、次の⑤の部分では、2POSのままでも分散和音を弾けますが、より慣れている3POSで弾くことを想定しています。
 Cis-Eで移動することを考えていますが、この移動は2POS→3POSの小さな移動なので、手首をがしっと動かすより(結果的に少し動きますが)指の置く位置にすこし意識を集中させたほうが、移動しやすいと思います。

さて、今日はこの辺で。
別記事で、3楽章もしくは4楽章についても書ければと思っています。

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