<譜例>ブラームス 交響曲第1番 ② (第1楽章より) 

 前回の続きで、ブラームスの交響曲第1番の譜例です。
1楽章の後半に入ろうとするあたり、次のような譜例が出てきます。

 とても盛り上がるところで、弾いてて楽しいところですね。
譜例のはじめのあたりは何のことはない旋律ですが、ハイポジションに移るにつれ、だんだん取りにくくなってくる部分だと思います。
書き込みでぐしゃぐしゃになってしまうので、まずはフィンガリングの一例を書いてみます。

 A線上での半音の動きが多いので、指の半音ずらしがところどころに出てきます。
そして、注意していただきたいのが、譜例での練習記号Kに入る前の、音の跳躍の幅についてです。
譜面をとにかく音を取るという練習だけでなく、音同士の音程を把握して練習すると、とても弾きやすくなるように思います。
具体的には、次のように考えました。

 ここでは、長6度、短6度、完全五度のほかに、減5度、減7度の音程が出てきます。
具体的な指の置き方は、実際に楽器を弾きながら確認していただきたいと思いますが、次のようになるでしょうか。
・完全5度→隣の弦の同じ位置に指を置く
・長6度→1-2、2-3、3-4などのフィンガリングになり、指同士が近づく
 ※この、指同士が「近づく」ということを、「くっつく」と教える、習う場合もありますが、これは適切ではありませんので、
  注意が必要です。
  詳細の説明は別の機会にと思いますが、これをくっつけてしまうと、音程が「きつく」なりすぎることが多いと思います。
・短6度→1-2、2-3、3-4などのフィンガリングになり、指同士が離れる

これらのほか、難しいのが弦5度で、記譜上5度に一瞬見えるので、隣の弦の同じ位置かと思いますが、これは半音分ずれた位置にあるので注意が必要です。
この半音分も、「指がくっつく程度」であることが多いですが、指のくっつきを目安にすると間違った音程になりがちなので、注意しましょう。

また、減7度については、これも難しい音程ですが、ここでは6度の音程に読み替えて弾いてしまうのがわかりやすいと思います。
ここはハイポジションであるため、1-3や2-4のフィンガリングより、2-3などでとったほうが指を置きやすい、というメリットもあると思います。

 さて、次の譜例です。

 あまり難しいところではないかも知れませんが、注意したいところがあるため、取り上げました。

注意したいところというのは、譜例上の②の部分なのですが、順番のため①の部分からお話しします。

 DからAに移動する際の動きについて、ばつーんと飛びつくのはやめたほうが良いです。
特に、はじめのうちは、4で押さえていたD音に1の指を当ててAを4の指で取る方法や、D音に2の指をあて、4の指でFを取り、その場所に2の指を当て、最終的に4の指でAを取る、という練習をするのが良いです。
はじめはまどろっこしいことのように感じるかもしれませんが、このような練習を繰り返すことで、すばやく上の音をとれるようになります。

 さて、問題の②です。ここは、スラーでつながった音が、先ほども出てきた減7度になっています。ここも、6度に読み替えて弾くのが良いかな、と思っています。
気をつけたいのが、スラーの切れ目で、ここで気分的にも弾ききってしまい、次のFの音の場所が行方不明になってしまうケースが非常に多いと思います。
スラーの切れ目ではありますが、HとFの音が減5度の関係であることをよく理解して、Fの音を取るようにするのが良いですね。(このとき、ポジション移動を伴います。)

 1楽章については、このようなところでしょうか。ほかの楽章についても取り上げたいと思います。
それでは、また。

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