譜面を見ると、ファーストバイオリンの方が難しそうだけども・・・
前のページでは、ファーストバイオリンのパートの方が難しく、上級者向けのパートと捉えられがちであると、紹介しました。
確かにパート譜を見ただけでは、セカンドバイオリンの方が簡単に思えますが、それほど単純な話ではありません。
初心者のうちは、ファーストバイオリンの譜面に出てくる超高音を弾くことができないので、どうしてもセカンドバイオリンに振り分けられることが多くなります。
しかし、あなたが練習を積んでバイオリンの演奏技術そのものに余裕が出てくると、セカンドバイオリンの奥深さ、難しさに気づくはずです。
セカンドバイオリンの難しさは、立ち回りの難しさだ。
セカンドバイオリンが難しいとすれば、それは個人練習の時に感じる難しさではなく、合奏時に感じる難しさです。ファーストバイオリンの譜面は、多くの部分が主旋律で閉められています。ファーストバイオリンが、弾いてて気持ちいいと言われるのは、これが理由ですね。
一方でセカンドバイオリンはどうかというと
- ときに、ファーストバイオリンのオクターブ下でメロディーを演奏したり
- ときに、ファーストバイオリンの少し下の音(いわゆるハモリ、3度や6度など)を弾いたり
- ときに、ファーストバイオリンの主旋律とは違う、対旋律を弾いたり
- ときに、ヴィオラと内声の和音を作って刻みをしたり
- ときに、ずっと休みだったり・・・!
というように、役割が場面場面でどんどん変化していくのです。
ちなみに、最後のは冗談です(笑)
確かにオーケストラで演奏する交響曲の譜面などでは、ファーストバイオリンよりセカンドバイオリンの方がわずかに譜面のページ数が少ないことが多いです。
が、これはファーストバイオリンの音符が五線譜からはみ出して場所を取ることが理由であって、休みの量はそれほど変わりません。
最初のうちはそこまで意識しなくても大丈夫ですが、オーケストラや室内楽で演奏するときは、上にあげたようなそれぞれの局面によって選択すべき微妙な音程が異なります。
また、ファーストバイオリンには「私に合わせて!」という感じに弾けばだいたいOKですが、セカンドバイオリンはファーストバイオリンだけを意識するのではダメで、局面によってはヴィオラと一緒の刻みがずれないように慎重に演奏する必要が出てきます。
このように、ファーストバイオリンとセカンドバイオリンを比べた場合、純粋に楽器を弾く技術がどれだけ求められるかという観点では、ファーストバイオリンの方が難易度が高いということになります。
しかし、オーケストラの演奏などで、緻密なアンサンブルを作ってバランスよく曲を作り上げるには、セカンドバイオリンの臨機応変な立ち回りと、確実な演奏が欠かせないのです。
アマチュアオーケストラでは、まず譜面に書いてあることが弾けるかどうかということが問題になりますので、初心者をセカンドバイオリンに振り分けることが多いのは、仕方ないことです。
ですが、一定水準以上の技術を持っていることが前提のプロオケでは、ベテランをセカンドバイオリンに優先的に配置するのがよくあるケースです。