セカンドバイオリンパートは、下手な人の集まりなのか?
- 「あなたはうまいからファーストバイオリンね」
- 「セカンドバイオリンだったらアマチュアオーケストラに入れるかな」
こういう、ファーストバイオリンはうまい人の集まり、セカンドバイオリンなら技術に自信がなくても大丈夫、という風潮があります。
本当に、セカンドバイオリンが下手な人の集まりであったり、セカンドバイオリンであればうまく演奏できなくても大丈夫なのでしょうか?
現実問題として、アマチュアオーケストラにおいて、セカンドバイオリンに技術が未熟なメンバーが振り分けられることは多いです。しかしそのことと、セカンドバイオリンであれば演奏がうまくできなくても問題ないかどうかということは、別の問題です。
なぜこのような認識になるのか
このような認識になってしまう一番の理由は、それぞれのパートの「譜面づら」にあります。
譜面の例は、アマチュアオーケストラの演奏会でも1曲目、いわゆる「前プロ」として取り上げられる機会の比較的多い、ドヴォルザーク作曲の「謝肉祭」という曲の冒頭部分です。
曲のはじめから非常に速いテンポで、難しい曲です。
左側がファーストバイオリンの譜面、右側がセカンドバイオリンの譜面です。
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比べてみると、どちらが難しそうでしょうか?この曲の場合は速いテンポなので、どちらも難しい、とも言えますが・・・
「譜面づら」を見てみると、ファーストバイオリンの方が五線譜を大きく上にはみ出した音符が多く、難しそうだと感じると思います。
ハイポジションを弾けなければ左側の譜面には対応できませんから、腕に自信のあるメンバーをファーストバイオリンに集めよう、となるのは自然な流れですね。
ハイポジションを演奏できるかどうかというのは、アマチュアのバイオリン弾きにとって互いに技術レベルを判断するときの大きな目安になっていますので、結果としてファーストバイオリンはうまい人が集まるものだ、というイメージが作られます。
転じて、というわけではないですが、その逆を取る形で「セカンドバイオリンは簡単であり、演奏技術が高くなくても大丈夫」ということになるのでしょう。
ここまではあながち間違っていないとも言えますが、さらに行き過ぎて「セカンドバイオリンであれば間違えたりしても目立たないし、問題ない」というようになってしまっては、これは間違っていると言わざるを得ませんね。
このようにハイポジションの出てくる頻度や、主旋律が多いため間違えると観客に気づかれやすいということから、「ファーストバイオリンはうまい人が集まる」⇒「ファーストバイオリンの方がセカンドバイオリンよりも格上だ」という認識になってしまったのでしょう。
バイオリンの練習、そしてアンサンブルやオーケストラの経験を積んでいくと、このようなハイポジションの有無だけでは難しさが図れないことがわかってくるはずです。
セカンドバイオリンの難しさについては、別のページを作成し、紹介します。